冷え性に使われる漢方をタイプ別に解説|あなたの冷えは?

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスではありません。症状が続く場合は医師・薬剤師にご相談ください。

この記事の結論

  • 冷え性は漢方では4つのタイプに分類される——手足末端型・下半身型・全身型・ほてり型で処方が異なる
  • 「冷え」は漢方が最も得意とする領域の1つ——西洋医学では病気と見なされにくい冷え性に、漢方は多数の処方を持つ
  • 体質と冷えのパターンを見極めることが最重要——同じ「冷え性」でも真逆の処方になることがある

## 漢方の視点で解説

漢方の視点で解説

漢方医学では冷えを「陽虚(ようきょ)」——体を温めるエネルギー(陽気)の不足と捉えます。しかし、冷えの原因は「陽虚」だけではありません。

冷えの4大メカニズム: - 気虚(ききょ)による冷え:エネルギー不足で熱を産生できない - 血虚(けっきょ)による冷え:血が不足し、末端まで温かい血液が届かない - 瘀血(おけつ)による冷え:血の巡りが悪く、熱の配送がうまくいかない - 水滞(すいたい)による冷え:余分な水が体を冷やしている

さらに、「冷えのぼせ」という日本人に多いパターンもあります。上半身はほてるのに下半身は冷たい——これは気の巡りが乱れ、熱が上に偏った状態です。

## 具体的な処方と使い分け

具体的な処方と使い分け

タイプ別処方ガイド

冷えのタイプ 主な症状 代表処方 ツムラ番号
手足末端型 手先・足先が冷たい、しもやけ 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 38番
下半身型 腰から下が冷える、頻尿 八味地黄丸(はちみじおうがん) 7番
全身型 全身がだるく冷える、低体温 真武湯(しんぶとう) 30番
ほてり型(冷えのぼせ) 上半身ほてり、下半身冷え 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 25番

体質×冷えの複合パターン

体質 冷えの特徴 追加で検討する処方
気虚+冷え 疲れると冷えが悪化 補中益気湯(41番)
血虚+冷え 生理後に冷えが強い 当帰芍薬散(23番)
水滞+冷え 雨の日に冷えが悪化 苓姜朮甘湯(118番)

## 知っておきたい注意点

知っておきたい注意点

  • 附子(ぶし)を含む処方は要注意——八味地黄丸、真武湯などに含まれ、しびれ・動悸の副作用がまれにある
  • 温める処方を「ほてりタイプ」の人が服用すると、のぼせが悪化する可能性
  • 冷え性の背景に甲状腺機能低下症や貧血が隠れている場合がある——まずは医療機関での検査を推奨
  • カフェイン・冷たい飲み物の過剰摂取は漢方の効果を相殺する可能性
  • 効果を感じるまで1〜3ヶ月かかることがある——長期的な体質改善として取り組む

※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。

マニアックメモ

「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」は漢方処方の中で最も名前が長い処方の1つ。原典は『傷寒論』で、「手足厥寒(てあしけっかん)」——手足が氷のように冷たい状態に対する処方として記載されています。

面白いことに、日本は世界的に見ても「冷え症外来」が存在する珍しい国です。これは漢方医学が日本の医療に根付いているからこそ。中国では「冷え」は普通に中医学の範疇で扱われ、欧米では最近になってようやく "cold sensitivity" として研究が始まった段階です。

八味地黄丸に含まれる附子(トリカブトの根)は、加工処理により毒性を除去して使用します。この「修治(しゅうち)」技術は千年以上の歴史があり、現代のツムラでは高温高圧処理で安全性を確保しています。

参考:日本東洋医学会冷え症ガイドライン、ツムラ各処方添付文書

まとめ:こんな人におすすめ

  • 手足の冷えが慢性的に続いている
  • 西洋医学で「異常なし」と言われたが冷えがつらい人
  • 自分の冷えのタイプを正しく知りたい人
  • 冷え対策として体質から根本的に改善したい人

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※症状が続く場合は医師・薬剤師にご相談ください。